世界の果てからこんにちは


新しい街で暮らし始めて4週間ほど経った。
友人たちとふざけてこの街のことを「世界の果て」と呼んでいるので
このブログでも「世界の果て」で統一しようかと思う。

世界の果ては本当に静かな町で、土曜日は午後三時にもなるとほとんどのお店がしまってしまう。
私の住んでいる地区は美しい森に囲まれているものの、一番近いスーパーにたどり着くのに30分ほど歩かなければならない。
引っ越す前はこんな何もない田舎で一年間どうやって生活していくんだろう、と途方に暮れていたが
引っ越しの準備で疲れ切っていた私にとって、この町の静けさは心地よく
最初の一週間はその静けさを堪能していた。
しかしそのうち世界の果てでは街が静かな分、人間関係が密なことが分かってきて
色んな人が色んなことに誘ってくれるので今のところ孤独は全く感じていない。
むしろ「ちょっと一人になりたいな…。」と思うくらいである。
引っ越し前はあんなに心細かったのに、意外な展開…。

以前にも書いたけれど、私はこの町の人智学系病院で一年間芸術療法の研修生として働くことになる。
最初の2週間は自分の働くことになる患者さん達が滞在する病棟の見学にあてられた。
私の上司は、この病院内のほかの芸術療法士達とは違って、純粋な身体疾患をもつ患者さんとも働いているので
私は内科やリハビリテーション科でも看護師さんの後をくっついて回って見学した。
幸いにも今まで病院とはあまり縁のない生活を送ってきた私にとって
病院での日常を垣間見ることは、それだけで特別な経験だったし
看護師というのは本当に忙しく、そして集中力と専門知識、判断能力が求められる職業なのだなあとしみじみ感じ看護師さんたちを改めて尊敬したのだった。

芸術療法士としての仕事は始まったばかりなので、まだ多くは語れないけれど
でもつくづく思うのは、しっかり目を開いて治療現場で何が起こっているのかを感じて、多面的に考えなければいけないな、と言うこと。
ぼんやりしてるには勿体なさすぎる一年間だし、実践が少なかった大学院の授業で私が学んだことは結局「思考すること」。
今までとこれからの経験がちゃんとつながっていくように
そして私という人間が、私なりに人智学系芸術療法を使っていけるようになるために経験して、感じて、考えていきたい。
時間が経って仕事に慣れてくると、仕事を通して感じたことを振り返るのが億劫になってしまいそうだけれど
研修が始まってまだ一か月のフレッシュな私はそう願うのだった。

コメント

人気の投稿