セラピストとしての態度


またもや久しぶりの更新です。
今の職場で働き始めてそろそろ一年。
なんだかびっくりするくらいあっという間でした。

職場に慣れるのに精いっぱいで、あまりブログの更新ができていませんでしたが
一応元気にやっています。

仕事を始めてからこれまでを振り返ってみると、アートセラピーの勉強を深めた部分より
ドイツ社会で働きながら生きていくとはどういうことなのか、という社会勉強をしていた部分のほうが大きいような…。
時々へこたれそうになるけれど、いろんな人たちに支えられながら
それなりに充実した日々を過ごせています。

ドイツでアートセラピストとして働くということは、つまり
ある程度、ドイツ人が求める社会人像、セラピスト像を演じられるようにならないといけないわけで
日本でセラピストとして働いた経験がないので、比較ができないのですが
ドイツで、とくに大きなグループを対象に働いている現在思うことは
威厳を見せること、慈悲深くあることのバランスが非常に難しいな、ということ。

あまり権威的にふるまってしまうと、患者さんたちは心を開いてくれないし
かといって、情が深いところを見せるだけでは、真面目にとらえてもらえない。
日本人だから、というよりは私の個人的な性質なのかもしれませんが
威厳があるようにふるまうのはなかなか難しいです。
しかも、ドイツ人の同僚たちの真似をしても、それは私のやり方には合っていない気がするので
わたしは私なりの道を見つけないといけない。

例えば、拒食症の患者さんは隙があればカロリーを消費しようとします。
アートセラピー中も無駄に動き続けたり、立ちながら絵を描こうとしたり。
そういうときに、同僚は「ここはスポーツをする場所ではありませんよ!」と一喝するのですが
私がそれをするのは不自然な気がするので、そういう場合はそっと、患者さんの肩に触れるようにしていました。
それだけでも大抵の患者さんは、「これは座れというシグナルだな」と理解してくれます。

拒食症は下手をすると命にかかわる病気なので
そんな命がけの戦いの助けになるようなセラピーを、私は提供できているのかと自問自答することも多いです。
本当に難しい仕事だし、私も生半可な気持ちで患者さんと向き合ってはいけない。
でもだからこそ、絵を通して患者さんの生きたいという願いが、少しづつでも増えていく様子を見れると、心が動かされます。


最近、少しづつ日が伸びてきました。
ドイツの長い長い冬の終わりと、春の訪れを心待ちにしている日々です。



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