LOM

昨日今日とスイスのLOMという団体の人たちが来ていた。
LOM=Lösungsorientiertes Malen
日本語に訳すと「問題解決を目指した絵画制作」ってとこかしらね。。。

前にちょろっと書いたArno Sternっていう人の絵画方法(Formulation)を取り入れたりしていて
そのふたつを比較するのも面白かった。
Formulationは、いろいろはしょって簡単に説明するならば
窓のない部屋の真ん中に細長い机があって、そこに18色のパレットがある。
それぞれの色にそれぞれの筆があって、それをみんなで共用しながら使う。
出来た作品を良い、悪いで判断しないように作品を批評するようなことは言ってはならない。
純粋に作者が欲する形や色で制作させて本人の本来のリズムを取り戻させる、という感じ。

でも先生が何回も、Formulationとアートセラピーは違う、そしてこれは芸術でもない。
と言っていたので、なんだかすごく宙ぶらりんな存在のような印象がしてた。
今回のLOMの人たちはArno Sternのいいとこ取りをしている、と言ったらあれだけど
うまいこと自分たちのやり方に彼の方法を取り入れてる感じがいいなあと思った。

Arno Sternの絵画方法で使われる絵具はとっても好き。
単純に、良い匂いがするんだもん。。。笑
ふつうのガッシュだと思うんだけれども、どうしてこんなに良いにおいがするのか。
今日の絵具の香りと前回見学に行ったアトリエで使った絵具の香りはちょっと違かったけれど、両方良い香りだった。
今回の絵具の香りは形容しづらい、、、前回のはココナッツみたいだった。

この良い匂いのする絵具で、指を使って大きな紙に描かせるのがLOMのやり方。
クリームみたいな柔らかさの綺麗な、良い匂いの絵具を使って
指で描くんだからそれだけで気持ちいい。

説明が前後しちゃうけれど、LOMのたぶん他のアートセラピーとはちがうところは
まず、その人の抱えてる問題や症状が例えば果物だとしたら?野菜だとしたら?動物だとしたら?
というふうに何か違うものに置き換えさせる。
これを彼らはメタファーと呼ぶ。
で、その中の一つを描かせるんだけれでも、描きだす前にその人がその問題をどれくらい負担に思っているかを1~10の数字で表現させる。
そして制作後にその数値がどのように変化したのか見比べる。
ほとんど変化しなかった場合は同じ絵を少し描きなおさせるか、違うテーマを描いてもらう。
そして制作は利き手じゃないほうの手で行う。(上手下手の価値基準を無くさせるため)

さっき上にも書いたように、この制作方法はとっても気持ちがいいと思ったし
描いてるうちに、自分が利き手じゃない手を使っているということを忘れてしまうほど集中できた。
とっても楽しかったし、出来上がった作品には満足だったけど
制作後、先生に「じゃあ 今、この絵を見てあなたの負担を数字にしてみたらどうかしら・・・?どう変化したかしら?」
と言われた時に「・・・はて・・・?」という気持ちになってしまった。

そもそも、心の負担を数字でなんて表現できるものなんだろうか、とわたしは思っちゃうんだけど。
まあ、どっちかっていうと軽くなった気がするし
問題をメタファーにして絵にしたことでちょっと客観視はできた気がする。
でも問題そのものが解決されたわけではないし、ゼロにはならないよ。。。

そんなふうに思ってしまうわたしはひねくれているのかもしれないなー。
しかし、もしまた機会があったら体験してみたいと思う手法だった。

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