貴重な経験ではあるものの…

今週はどういうわけか緊張するような予定がいっぱいです。
でも、昨日そのうちの一つをクリアしました。
病院でテレビ局の取材があったのです。

去年も摂食障害をテーマにしたドキュメンタリー番組の撮影が、うちの病院で行われたのですが
今回の番組は肥満症をテーマにしたもの。
アートセラピストのなかで唯一、むちゃ食い障害の患者さんを対象にしているわたしがアートセラピスト代表として選ばれてしまいました。
わたしが「嫌だ、緊張する、ストレスだー」とギャアギャア騒いでいたので
ほかのアートセラピストたちが一緒にアトリエの片づけをしてくれたり、
音楽療法士の同僚が撮影前に、わたしをリラックスさせようと歌を歌ったりしてくれました。

そして実際撮影が始まってみると、わたしは緊張しているし
グループは撮影のために特別に集められた、知らない患者さんばかりのグループだし
患者さんたちも緊張して、妙にハイテンションだし…。
撮影チームはアートセラピーの最中に患者さんや、わたしに質問してきて
セラピーを中断するしで、非常にやりづらかったです…。

撮影が終わってからの個人セラピーでは
患者さんと一緒に自分も絵を描いて、気分を落ち着かせました。

なんだかとっても精神をすり減らしてしまったので
こんなことでへこたれてしまう自分、プロフェッショナルじゃないなあ、大人じゃないなあと落ち込んでいたのですが
今日のお昼休みに、やっぱり昨日取材を受けた心理療法士に、「どうだった？」と聞いたところ
「散々よ。撮影チームはセラピーの最中にいきなり質問してくるし、
　そしてそのあと、さっ、じゃあセラピー続けてくださいって言われたけど
　わたしは女優じゃないんだから、話の流れを中断されたら、なんの話してたのかわからなくなっちゃうわ。」と憤慨していて
良かった、散々だったのはわたしだけじゃなかったんだ…とちょっと安心しました。

どんな病気にしろ、社会であまり認識されていない病気についての情報や
その治療についてドキュメンタリーで紹介されるのは、いいことなのだろうけれど
ドキュメンタリー番組っていうものは、半分フィクションのような感じで撮影されるものなんだなあと思いました。

撮影に参加した患者さんたちには謝礼金として最低５０ユーロ支払われたのに
わたしたち職員には、病院の宣伝に貢献したということで謝礼金なし…。
なんだか病院にいいように使われたようで、納得がいかないけれど
このストレスが無駄にならないように、ほんの数分でもアートセラピーのシーンが使われて、
情報の詰まったいいドキュメンタリー番組になるといいのですが。